プライオメトリクスとは?鍛えるメリットとおすすめのトレーニング!
プライオメトリクスは、瞬発力や筋力を高めるためのトレーニング方法であり、主にジャンプや投げる動作を取り入れます。
継続することで、スポーツパフォーマンスの向上が期待できるため、多くの運動競技者に取り入れられています。
本記事では、プライオメトリクスのやり方や効果を高めるためのポイントを中心に解説していきます。
また、競技能力を向上させる重要なポイントも記事の最後に述べているので、ぜひとも御覧ください。
Contents
プライオメトリクスとは
プライオメトリクスは、短時間で筋肉に負荷をかけて筋力を向上させる効果的なトレーニング方法です。
主に、プライオメトリクスは、筋肉が急激に伸ばされる伸張反射、筋肉を縮ませる短縮性運動、それらの運動の間に挟まれるアモティゼーションの3つの流れに分けることができます。
伸張反射は、筋肉が急激に伸ばされた時に、即座にその筋肉が収縮する現象
ランニングやジャンプの着地時に膝が急に曲がった場合、伸張反射が膝関節を安定させ、怪我を防ぐのに役立つなど、伸張反射のクオリティが高いことのメリットは大きいです。
ボックスジャンプやアンクルホップなど瞬発力を高めるトレーニング種目で伸張反射のクオリティを上げることが可能です。
短縮性運動とは、筋肉が与えた負荷よりも大きい力を発揮し、筋肉が縮みながら筋発揮をしていく活動。
ウエイトトレーニングでのバーベルカールやレッグプレス、また走り幅跳びの踏み切り動作などが短縮性運動の典型例です。
バーベルカールだと、肘を曲げ二頭筋を収縮させる動きが短縮制運動とされています。
アモティゼーションは伸張反射-短縮性運動間で行われる運動。
アモティゼーションの時間が短いほど、より効率的な力発揮が可能となり、運動パフォーマンスが向上します。
垂直跳びやスプリントにおいて、素早く跳躍する・スタートダッシュを早くするためには、アモティゼーションを鍛えるトレーニングが必要不可欠とされています。
プライオメトリクスはジャンプ力や瞬発力の向上に特に有効とされており、陸上選手やバスケットボールの選手、バレーボールの選手のトレーニングに採用されています。
実際に日本体育協会スポーツ科学の研究によると、プライオメトリクスを定期的に行うことで、筋肉が大きくなる「筋肥大」には有効であると、結論付けています。
水中でのトレーニングもあるため、スポーツ選手だけでなく身体が出来上がってない小学生や中学生でも安全に取り組めます。
身体の怪我が心配な高齢者でも取り組むことができるトレーニング方法なのです。
プライオメトリクスのメリット
短時間でできる
通常、プライオメトリクスのトレーニングは20〜30分程度で完結します。
長時間のウェイトトレーニングや持久力トレーニングと比較すると、筋肉を鍛えるうえでは非常に時間効率が良いと言えます。
短時間で効果を得られる理由は、プライオメトリクスが筋肉が急速に伸張→短縮を繰り返す過程で筋肉と腱に弾性エネルギーが蓄積され、それが解放されることで爆発的なパワーを生み出します。
さらには、短時間で高強度のトレーニングを行うことで、代謝が活性化され、脂肪燃焼効果も期待できます。
運動の基礎能力向上につながる
プライオメトリクスは、基礎的な運動能力を総合的に向上させる効果があり、様々なスポーツや競技に応用できるため、多くのコーチや選手から注目されています。
国際オリンピック委員会(IOC)の研究によると、プライオメトリクストレーニングを定期的に行うことで、アスリートの全体的なパフォーマンスが5〜15%向上する可能性があるとされています。
プライオメトリクスは筋力、スピード、敏捷性を同時に向上させ、バスケットボールのジャンプシュート、サッカーのダッシュ、テニスの素早い方向転換など、様々な場面で活かされます。
また、プライオメトリクスは神経系の反応速度の向上にもつながるため、動作の正確性や素早い判断力が磨かれ、競技中の状況判断能力を伸ばすことができます。
時間がない中でも、爆発的な効果を生み出せるのがプライオメトリクスなのです。
効果的に下半身を鍛えるプライオメトリクスのトレーニングメニュー
ここからは実際にプライオメトリクスのトレーニングメニューを紹介していきます。
ボックスジャンプ
ボックスジャンプは、台に向かってジャンプするシンプルな動作でありながら、下半身の筋力と瞬発力を効果的に鍛えることができます。
筋肉の伸張反射を利用して、大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎが強化できます。
台の高さを調整することで、難易度を変えることができ、初心者から上級者まで対応できます。
①初心者は低い高さから始め、徐々に高さを上げる
②着地時は膝を柔らかく使い、衝撃を吸収する
③セット数と回数は、3セット×8-10回程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は60-90秒を目安にする
バイラテラルジャンプ
バイラテラルは、片足ずつ交互にジャンプするトレーニングで、バランスと筋力が同時に鍛えられます。
特に、片足でのバランスを必要とする動作は、運動神経の発達にも寄与し、下肢の筋力強化に加え、股関節の柔軟性向上にも効果的です。
①初めは低い高さから始め、徐々にジャンプの高さを上げる
②着地と次のジャンプの間の接地時間をできるだけ短くする
③セット数と回数は、3セット×10-15回程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は60-90秒を目安にする
アンクルホップ
アンクルホップは、足首を使って連続してジャンプするトレーニングで、ふくらはぎの筋力を集中的に鍛えます。
連続的な動作により、心肺機能の向上も期待できるため、持久力の強化にもつながります。
短時間で効率的に下半身全体を鍛えられ、スポーツパフォーマンス向上に役立ちます。
①膝をほぼ伸ばした状態を保ち、主に足首の動きに注意
②ジャンプの高さよりも、素早い地面からの跳ね返りを意識する
③セット数と回数は、3セット×20-30回(または15-20秒間)程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は30-60秒を目安にする
効果的に上半身を鍛えるプライオメトリクスのトレーニングメニュー
プッシュアップジャンプ
プッシュアップジャンプは、腕立て伏せからジャンプして両手を離す動作を組み合わせたトレーニングで瞬発力を高めるために非常に効果的です。
プッシュアップジャンプを行うことで、胸筋、肩、三頭筋を強化し、上半身全体の筋力とパワーを向上させます。
さらに、この動作は心肺機能の向上にも寄与し、ボクシングのパンチ力、バスケットボールのパス力、バレーボールのスパイク力を高めることができます。
①初心者は膝をついた状態から始める
②爆発的に押し上げることを意識
③セット数と回数は、3セット×5-8回程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は60-90秒を目安にする
チェストプッシュトス
チェストプッシュトスは、メディシンボールを胸から押し出すように投げるトレーニングです。
このトレーニングは、胸筋や肩、腕の筋力を鍛えるだけでなく、体幹の安定性も向上させます。
メディシンボールの重量を変えることで、負荷を調整しながらトレーニングを行うことができます。
①ボールを投げる際は、全身の力を連動させて押し出す
②ボールを受け取る際は、衝撃を吸収しながら即座に次の動作に移行する
③セット数と回数は、3セット×10-15回程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は60-90秒を目安にする
Vシット・V字腹筋
Vシットアップ(V字腹筋)は、上半身と下半身を同時に持ち上げることで腹筋を鍛えるエクササイズです。
難易度が高いトレーニングですが、腹直筋を中心に、腹斜筋や腸腰筋も効果的に刺激します。
V字の姿勢を維持するためには、体幹の筋力とバランスが必要であり、全身の安定性を高めることができます。
①動作の速度よりも、フォームの正確さと体幹の緊張を維持する
②呼吸を止めずに、動作に合わせて呼吸を行う
③セット数と回数は、3セット×10-15回程度から始め、徐々に増やす
④セット間の休憩は60-90秒を目安にする
問題集!プライオメトリクスに関するQ&A
ここまででプライオメトリクスについてのあれこれを知ることができたと思います。
現在、NSCA対策講座「トレタン」ではプライメトリクス含む運動・トレーニングに関する問題を提供しております。
今回、問題の一部を出題するので、ぜひ回答してみてください。
問1:プライオメトリックトレーニングプログラムに参加するための必要条件はどれか?
A:18歳以上
B:一般的なレジスタンストレーニングの経験が3ヵ月以上
C:50歳未満
問2:パーソナルトレーナーは、クライアントがスプリント中に短い歩幅で小刻みに走っていることに気付いた。このクライアントのストライド長を伸ばすために、最も適切なトレーニングの組み合わせはどれか?
1.レジスティッドスプリント
2.アシスティッドスプリント
3.テクニックトレーニング
4.プライオメトリックトレーニング
A:1,2
B:1,3,4
C:1,2,3
問3:次のうち、誤った記述はいずれか
A:プライオメトリックトレーニングやスピードトレーニングは、アスリートのスポーツパフォーマンスだけでなく、職務や日常生活活動の改善ももたらす
B:プライオメトリックエクササイズでは、急激な伸張により貯蔵された弾性エネルギーが短縮性筋活動中に放出される
C:SSCはエキセントリック局面とコンセントリック局面の2つの局面から構成される
問4:プライオメトリックエクササイズの神経生理学的モデルに関して、次のうち誤った記述はいずれか
A:腱はエネルギーを大量消費するため、この腱を活かせば、運動中のエネルギーの消費量が上昇する
B:反射反応が主働筋の活動を増大、発揮筋力を増大させる
C:伸張反射要素は筋紡錘の活動
問5:プライオメトリックスのプログラムデザインにいて、次のうち誤った記述はいずれか
A:頻度と強度は比例するようにプログラムを組む
B:フォームが崩れない程度の負荷を与える
C:強度、 頻度、回復、量、漸進に配慮してプログラミングする
回答はこちらです!
問1:B 一般的なレジスタンストレーニングの経験が3ヵ月以上
問2:B 1,3,4
問3:C SSCはエキセントリック局面とコンセントリック局面の2つの局面から構成される
問4:A 腱はエネルギーを大量消費するため、この腱を活かせば、運動中のエネルギーの消費量が上昇する
問5:A 頻度と強度は比例するようにプログラムを組む
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プライオメトリクスを学ぶのであれば資格の勉強もおすすめ
指導者やトレーナーに興味がある人は資格を勉強することで、プライオメトリクス含む運動全般の知識を広げることができます。
学校やトレーナースクールに通うことも1つの手段ですが、費用や時間がかかるのもデメリットの1つ。
オンラインスクールのトレーナー資格であれば、費用や時間もかからず取得することができます。
競技者として、競技能力を向上させたい人にとっても資格の勉強はおすすめなので、ぜひ検討してみてください。