キネシオロジーテープとは?持続効果や部位別の貼り方を解説!
スポーツ選手の怪我や再発防止の手段としてテーピングはよく用いられます。
テーピングの種類は様々ですが、キネシオロジーテープはあらゆるシーンで利用されています。
ただ、従来のテーピングと何が違うのか、いまいち理解できていない人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では
・キネシオロジーテープとは何か
・キネシオロジーテープと他のテーピングの違い
・キネシオロジーテープの部位別の貼り方
を紹介します。
また、運動指導者やトレーナーを目指す方に向けてキネシオロジーテープに関する問題も用意しているので、是非最後まで読み問題に挑戦してみましょう。
Contents
キネシオロジーテープとは?
キネシオロジーテープは、運動やスポーツ中のケガや筋肉のサポートに使用される特殊なテープです。
この技術は、一般社団法人キネシオテーピング協会の加瀬建造氏が1983年から米国から日本へ持ち込んだとされています。
キネシオロジーテープの特徴は肌へ直接貼ることで痛みが生じている関節や筋肉に軽度な圧迫を提供し、安定感を与えることができる点にあります。
そのため、キネシオロジーテープはさまざまな目的に使用され、スポーツ選手に対しては疲労回復を促進させ、怪我をした人に対しては炎症を軽減させる役割を果たします。
また、貼り方は部位によっては異なるので最大の効果を得るためには部位別に貼り方を知っておく必要があります。
部位別の貼り方に関しては後ほど解説します!
キネシオロジーテープとテーピングの違いとは?
結論、キネシオロジーテープは痛みや怪我が発生した場合に使用され、従来のテーピング技術はこれに加えて、怪我がない状態でも関節を固定し再発防止のために使用されます。
項目を作成し、それぞれの違いを明確にしました!
キネシオロジーテープ | 従来のテーピング(スポーツテープ) | |
---|---|---|
主な目的 | 怪我の緩和 | 再発防止 |
対象者 | 一般家庭〜スポーツ現場 | スポーツ現場 |
伸縮性 | 伸びる | 伸びない |
接続性 | 連日使用可能 | 連日使用不可能 |
貼り方 | 筋肉に沿って貼る | 関節に沿って巻く |
ガッチリ関節を固定する従来の固定のテーピングとは異なり、キネシオロジーテープは伸縮性があるので筋肉に沿って貼ることで圧迫感なく日常生活を過ごせます。
キネシオロジーテープの効果はなし?エビデンス(論文)を用いて解説!
結論、キネシオロジーテープは身体のケアに対して一定の効果があるとされています。
キネシオロジーテープは科学的な証明が行き詰まっている分野でもあるため、「怪我の防止やスポーツパフォーマンスの向上に役に立つのか」といった声があるのも事実です。
ただ、キネシオロジーテープの優位性について研究した複数の論文では、「運動動作中においてもキネシオロジーテープは一定の効果がある」と述べています。
以下の3つで効果があると結論づけられています!
①瞬発力、持久力の低下抑制
②重心の安定性
③負荷のかからない運動時では疲労が少ない
各項目、それぞれ実験を経て、効果の優位性を証明しているので、実験内容が気になる方はそれぞれの論文を是非御覧ください。
持続効果は最大で〇〇時間
キネシオロジーテープの効果は数日、もって4日程度効果が持続するとされています。
もちろん、テープの貼り方や肌の状態、活動レベルなどの要素を考慮するため、個人の状況や目的によって持続時間は変動します。
また、運動後汗が残り、キネシオロジーテープを貼ったままにするとかぶれてしまうこともあるので注意が必要です。
自己判断ができない場合は、医療専門家や専門家のアドバイスを受けましょう。
キネシオロジーテープを使用するメリットとは?
筋肉の機能を正しく戻す
キネシオロジーテープは、筋肉本来の機能を戻すために役に立ちます。
筋肉や関節に貼ることで軽度な圧迫や刺激を与え、筋肉の安定感や血行が向上するなどの効果を感じられます。
ただし、キネシオロジーテープの効果やメカニズムについては、まだ科学的に解明されていない箇所も多くあることに注意が必要です。
使用する際は医療専門家やスポーツトレーナー立ち合いのもと、使用しましょう。
血液・リンパ液の循環を良くする
キネシオロジーテープは血液・リンパ液の循環を促進させ、肌トラブルや体質を改善する役割を持っています。
筋肉の動きや組織の圧力分布を加味しながら肌に貼ることで、皮膚の下の組織に僅かな圧力を持続的に与えます。
ただ、怪我もしていないのに貼っても意味はなく適切な運動、ストレッチ、正しい姿勢、血行促進のための他の方法など、包括的なアプローチをすることでより効果を感じられやすくなることでしょう。
痛みを抑える
キネシオロジーテープは、怪我人の身体の痛みを一時的に緩和するのに役立ちます。
テープを貼ることで、痛みを感じる部位の動きの制限し、テープの刺激によって神経の刺激が増え、痛みを一時的に緩和します。
ただ、一時的に痛みを抑えるだけであるため、根本を改善する場合はストレッチやトレーニング、電気治療を行う可能性があることを留意しましょう。
関節のずれを正す
キネシオロジーテープは関節を身体の正しい位置に戻してくれる効果を期待できます。
関節はいくつかの筋肉と靱帯が骨に付着しており、骨の位置はバランスによって決まります。
したがって、関節に弱い筋肉や極度に硬くなった筋肉がある場合、骨の位置が変化し、関節が徐々にズレ始める関節炎が生じます。
キネシオテーピングを使用することで筋肉の緊張バランスを正常化し、関節のズレを矯正することができるため、結果として関節炎が軽減され、運動競技でのパフォーマンスが期待できます。
キネシオロジーテープの貼り方を部位別に紹介!
部位の症状ごとに貼り方を解説したので、それぞれの貼り方を覚えましょう!
腰が痛い場合
①椅子に座った状態で行いY字テープの基部を仙骨の上に固定
②前屈させて腰を伸ばした状態で行いY字の一端を背骨の横に沿って肩甲骨の下まで貼りつけ
③背中の反対側も変わりに貼り付け
④シワができるようにする
膝を痛めてしまった場合
①クライアントを寝かせた状態にさせ足を楽に伸ばさせる
②長めのY字テープ(10~15cm)の基部をもも外側上部に固定
③膝を曲げながら貼っていき、Y字の部分の片側を膝の皿の横から包み込むように貼る
④反対側も同じように貼り、末端を皿の下で重ねる
太もも、ふくらはぎ近辺に痛みを感じる場合
①足を伸ばした大転子を確認しテープの基部を固定
②膝の部分まで均等なテンションがかかるように貼る
③真ん中からテープを押さえて完成
足が攣った場合
①うつ伏せで膝を折った状態でアキレス腱を伸ばしY字テープの基部をかかとの裏へ固定
②アキレス腱部に貼ったら膝を伸ばした状態にしY字テープの一方をふくらはぎに沿って膝裏まで包むように貼っていく
③反対側も同様に実施
④完成
肩に痛みがある場合
①テープを肩甲骨にそって三角筋まで貼り付け
②腕を上げ、肘を内側に曲げた状態でY字型テープの基部を肘頭より先に固定し、腕の付け根から一方は背骨へ、もう一方は肩甲骨の下を通り骨盤に向かって貼りつけ
③Y字テープの基部を肩の盛り上がる部分の下に固定し、肩の前部を包むように貼り付け
足首や指などの小さな部位でもキネシオロジーテープは使用されます。
足首付近に違和感がある場合
①うつ伏せになり、足の指を伸ばした状態になり熊手状にしたテープの基部をかかとに貼りつけ
②切ったテープを一本ずつ、かかとから指に向かって貼り指を伸ばす
③テープを均等に位置に調整し完成
指に違和感がある場合
①手の甲を上に向けた体勢で指の第2関節から貼る
②手を反転させ、テープを爪先で折り返し、指先まで貼り付け
③小指の付け根までテープを引っ張って貼り、手首を1周
④完成
寝る時は外す
キネシオロジーテープをしていても寝る時は外したほうが良いでしょう。
キネシオロジーテープの役割は関節や筋肉の負荷の軽減であるため、負荷がかかっていない状態で貼っていても、かぶれてしまうだけなので効果は薄いです。
睡眠時のストレスにも影響を及ぼすため、自分で取り外しができる場合は外すように意識しましょう。
【用途別】おすすめのキネシオロジーテープとは?
ここからは用途に即したキネシオロジーテープを紹介していきます!
ニトリートキネシオロジーテープはプロ御用達
スポーツの現場、接骨院でも利用されているのが「ニトリートキネシオロジーテープ」です。
かぶれにくさが特徴で手に馴染みやすく簡単に皮膚に貼ることができます。
伸縮性にも優れており、皮膚間を繋げやすいですが水分性に弱いため、汗をかきやすい体質のクライアントに対しては繰り返し入れ替えるなど注意も必要です。
キロテープは水を弾き剥がれにくい
水を弾きにくいキロテープは汗をかきやすい人や水泳選手のサポートに適しています。
水耐性に強い分、伸縮性はニトリートキネシオロジーテープに比べて劣りますが、細かい蛇腹が作れるなど貼る分には問題ありません。
また、粘着力が強いく肌への刺激も増すので、かぶれないようにするためにも長時間使用するシーン以外は取り外しておくなど対策をしておきましょう。
「Wapexキネシオロジーテープ」は初心者におすすめ
キネシオロジーテープを実習で初めて使用するなどの初心者には「Wapexキネシオロジーテープ」がおすすめです。
粘着力があり、素材がしっかりとしていることに加えて、コストも安いため、気軽に使用しやすいことが特徴です。
テープの表面がなめらかで違和感が少ないので、テーピングをした時のザラザラ感や肌触りが気になるというクライアントに対して気にせず使用できます。
キネシオロジーテープを適切に貼るために必要な知識
怪我を正しく判断するには解剖学が必要
大前提としてキネシオロジーテープを正しく貼るためには解剖学の知識が必要です。
解剖学とは人体の構造、組織や器官の配置、それらの相互関係を説明する学問のことを指します。
クライアントに適切なサポートをするためには、キネシオロジーテープを貼る前にまずクライアントの状態を正しく判断する必要があり解剖学の知識が必要とされます。
担当者は怪我の状態を知った上で、関節同士の動きを理解し負荷を和らげるよう正しくキネシオロジーテープを貼らなければいけないのです。
詳しく解剖学のことを知りたい方は以下の記事を御覧ください!
適切な処置をするにはスポーツ医学の知識が必要
解剖学に加えて、スポーツ医学の知識も現場では求められます。
スポーツ医学とは運動機能、運動時における呼吸・代謝機能などを科学的に解明する学問分野のことを指します。
解剖学とは異なり、運動機能が学習内容として組み込まれているためクライアントが行っているスポーツ・競技の動きの特徴を理解しなければなりません。
スポーツ特有の動きを考慮した上でキネシオロジーテープを貼らなければ、負荷は軽減されず効果が半減されるため、知識として取得しておかなければならないのです。
トレーナー資格の学習は身体や運動に関する知識が身につく
解剖学、スポーツ医学、これら以外の生理学やコンディショニングの知識はトレーナー資格を学習することで一括で学べるのです。
トレーナー資格は一見、トレーナー指導に必要なトレーニング方法の学びや筋肉をつけるため・ダイエットに効果的なやり方をインプットできる手段と考える方もいるかも知れませんが、実は運動や身体に関する豊富な知識を得られるのです。
関節の可動域であったり、怪我や障害がある方に対しての適切な運動プログラムの作成だったりとトレーナー以外の職業にも十分に活かすことができるのです。
トレーナー資格を一覧で知りたい方は以下の記事を御覧ください!
NSCA-CPT資格取得で指導者・トレーナー知識をつけよう
解剖学、スポーツ医学、運動生理学の知識が身につく
NSCA-CPTの資格の取得には解剖学、スポーツ医学、運動生理学、栄養学、トレーニング方法など豊富な知識をつけることができます。
指導者やトレーナーは選手の怪我のサポートだけでなく、運動能力を向上させるための運動プログラムの考案や正しいトレーニングのやり方、食事バランスなど仕事内容は多岐にわたります。
これらの業務を適切に行うためにも身体や運動に関する知識は欠かせないのです。
資格が活かせられる職業が多い
NSCA-CPTの資格を活かすことのできる職業はスポーツ指導者やトレーナー以外も存在します。
医療従事者、作業療法士、理学療法士、介護職など身体や運動に携わる労働活動で活かすことができます。
また、トレーナーや運動指導者の求人には「資格取得必須」などの記載がされている場合があり、これらの求人は他の求人よりも時給や月収が高く設定されていることもあります。
労働環境が良い職場で働くためにもトレーナー資格は取得して損はないのです。
世界52カ国で認められている権威性のある資格
NSCA-CPT資格は米国認定の世界52カ国で認定されている有名資格です。
米国を始めとし、英国、中国でも認定されており日本でも認定されています。
本部は米国ですが、日本ではNSCAジャパンが支部として設立され、資格取得するためにはNSCAジャパンへの登録が必要です。
いずれは世界で働いてみたいという人はNSCA-CPT資格を取得しましょう!
実際に資格問題を解いてみよう!
それでは実際にNSCA-CPT資格に出題されそうな問題集をトレタンでは作成しています。
5問用意したので、実際に解いてみましょう!
問1:補助者を必要としないエクササイズはどれか?
A:ライイング・トライセップスエクステンション
B:バイセップスカール
C:バックスクワット
問2:血球を形成する造血が行われているのはどれか
A:海綿骨
B:皮質骨
C:神経細胞
問3:次のうち、誤った記述はいずれか
A:手根骨と足根骨のほとんどが長骨である
B:不規則骨は構造が様々で、複雑な形をしているものが多く、内臓器官を保護している
C:扁平骨は筋肉に脂肪が付着する部分が広く、脳や心臓、骨盤器官などの保護を担う
問4:45歳の男性クライアントに対して3ヵ所の皮脂厚測定を行なう場合、測定に含まれない部位はどれか?
A:胸部
B:腸骨上部
C:腹部
問5:インスリン抵抗性の説明として誤っているのは次のどれか?
A:習慣的に多量のグルコースを摂取しているとインスリンによるグルコースの取り込み能力が低下する
B:インスリンによる脂肪組織への糖の取り込みを促進する
C:インスリン抵抗性が生じると低血糖になってしまう為、膵臓のβ細胞は多くのインスリンを分泌するようになる
回答はこちらです!
問1:B バイセップスカール
問2:A 海綿骨
問3:A 手根骨と足根骨のほとんどが長骨である
問4:B 腸骨上部
問5:C インスリン抵抗性が生じると低血糖になってしまう為、膵臓のβ細胞は多くのインスリンを分泌するようになる
何問正解したでしょうか?
NSCA-CPT資格に関する問題は他にも用意してますので、是非チャレンジしてみてください!
キネシオロジーテープとは何か理解し、指導者としての一歩を踏み出そう
本記事では、キネシオロジーテープについて解説しました。
キネシオロジーテープの部位ごとの貼り方を知ることで、選手に対して適切なサポートを行うことができます。
また、キネシオロジーテープには解剖学などの専門知識が求められます。
トレーナーになるには解剖学の知識に加えて、スポーツ医学などの知識も必要で、トレーナー資格の勉強をすることでこれらの知識を効率的に学ぶことができるのでトレーナーや指導者を目指す人は資格取得から始めてみましょう!
パーソナルトレーナーの活動に興味がある方は以下の記事をご覧ください!